「今日はどこで反発しそうか、あらかじめ目安を持っておきたい」
そう考えてチャートを開いても、どこにラインを引けばいいのか迷ってしまうことはないでしょうか。
ピボットは、前日の高値・安値・終値の3つの数字だけで、その日の目安となる価格帯を自動で計算してくれるテクニカル指標です。
計算方法がシンプルで、誰が計算しても同じ数値になるため、多くのトレーダーが同じラインを意識しやすいという特徴があります。
この記事では、ピボットポイントの計算式、各ラインの意味と見方、FXでの具体的な使い方と注意点までを順番に解説します。
ピボットのラインは、支持線・抵抗線と同じように「価格が止まりやすい水準」として使います。支持線・抵抗線の基本を先に確認しておくと、この記事の内容がつかみやすくなります。

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FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証された金融商品ではありません。為替レートや金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では、相場の急変時などに預け入れた証拠金を上回る損失が発生するおそれがあります。自動売買などの機能を使う場合も利益が保証されるわけではありません。取引を始める前に、各社の契約締結前交付書面や取引説明書をよく読み、仕組みとリスクを十分に理解したうえで、ご自身の判断で行ってください。
ピボット(ピボットポイント)とは何か
ピボットとは、アメリカのテクニカルアナリストであるJ・W・ワイルダー氏が考案した指標で、正式には「リアクション・トレンド・システム」と呼ばれます。ワイルダー氏はRSIやパラボリックSAR、ATR、DMIの考案者としても知られる人物です。
ピボットの中心となるのは「ピボットポイント(P)」と呼ばれる基準値で、前日の高値・安値・終値の平均から求めます。そこから上に3本(レジスタンス)、下に3本(サポート)のラインを算出し、その日の値動きの目安として使います。
移動平均線やボリンジャーバンドのように価格とともに動き続ける指標とは違い、ピボットのラインは1日の間は動きません。朝の時点で「今日はこのあたりが上値の目安、このあたりが下値の目安」と決まるため、デイトレードやスキャルピングのように1日の中で売買を完結させる取引と相性がよい指標です。
ピボットは前日のデータから翌日のラインを計算するため、その日の相場が始まる前にラインが確定している点が特徴です。値動きを見てから後付けで線を引く必要がありません。
ピボットポイントの計算式と7本のライン
ピボットは、ピボットポイントを中心に上下3本ずつ、合計7本のラインで構成されます。計算式は次のとおりです(H=前日高値、L=前日安値、C=前日終値)。
| ライン名 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
| R3(第3レジスタンス) | H+2×(P−L) | 上昇の行き過ぎを示す上限の目安 |
| R2(第2レジスタンス) | P+(H−L) | 強めの上値抵抗 |
| R1(第1レジスタンス) | 2×P−L | 最初に意識される上値抵抗 |
| P(ピボットポイント) | (H+L+C)÷3 | その日の基準となる中心値 |
| S1(第1サポート) | 2×P−H | 最初に意識される下値支持 |
| S2(第2サポート) | P−(H−L) | 強めの下値支持 |
| S3(第3サポート) | L−2×(H−P) | 下落の行き過ぎを示す下限の目安 |
たとえば前日のドル円が高値150.00円、安値149.00円、終値149.60円だった場合、ピボットポイントは(150.00+149.00+149.60)÷3=149.53円です。R1は2×149.53−149.00=150.06円、S1は2×149.53−150.00=149.06円となります。
このほか、R3のさらに上に「HBOP(ハイブレイクアウトポイント)」、S3のさらに下に「LBOP(ローブレイクアウトポイント)」を加えて9本で表示する場合もあります。HBOPやLBOPを抜けると、トレンドが発生したサインとして扱われます。
FXでは「前日」の区切りに注意
株式と違い、FXは平日ほぼ24時間取引されています。そのため、どの時刻で1日を区切るかによって前日の高値・安値・終値が変わり、ピボットの数値も変わります。
多くのFX会社はニューヨーク市場の終了時刻(日本時間の朝6時または7時)を1日の区切りとしています。チャートソフトのピボットを使う場合も、どの時刻を基準にしているかを一度確認しておくと、他のトレーダーが見ているラインとのずれを防げます。
ピボットの見方と使い方
ピボットの使い方は、大きく分けて「逆張り」と「順張り」の2つです。同じラインでも、相場の状況によって使い方を切り替えます。
レンジ相場ではR1・S1での反発を狙う(逆張り)
方向感のないレンジ相場では、価格はピボットポイントを中心にR1とS1の間を行き来しやすくなります。S1付近まで下がったら反発を想定した買い、R1付近まで上がったら反落を想定した売りを検討する、という使い方です。
この場合、損切りはS2やR2の少し外側に置くのが一般的です。ラインで反発しなかった場合に損失を限定できるよう、エントリーと同時に逆指値注文を入れておきます。
トレンド相場ではR2・S2のブレイクに乗る(順張り)
経済指標の発表などで強い値動きが出た日は、R1やS1で止まらずにR2・S2を突き抜けていくことがあります。こうした場面では、ラインを抜けた方向に流れが続くと考えて、ブレイクした方向にエントリーする使い方が選ばれます。
特にR3・S3やHBOP・LBOPまで抜けた場合は、相場の勢いが強いことを示しています。逆張りで向かっていくと損失が膨らみやすいため、無理な逆張りは控えます。
ピボットポイント(P)の上か下かで地合いを判断する
もう1つの見方が、価格がピボットポイントより上にあるか下にあるかで、その日の地合いを判断する方法です。価格がPより上で推移していれば買いが優勢、Pより下なら売りが優勢と考え、エントリーの方向を絞り込む材料にします。
| 相場の状況 | 主な使い方 | 損切りの目安 |
|---|---|---|
| レンジ相場 | R1で売り・S1で買い(逆張り) | R2・S2の少し外側 |
| トレンド相場 | R2・S2を抜けた方向へ(順張り) | 抜けたラインの内側 |
| 方向の判断 | P より上なら買い目線、下なら売り目線 | 使い方に合わせて設定 |
ピボットの考え方は、ほかのテクニカル指標と組み合わせるとより整理しやすくなります。たとえば、トレンドの強さを測るDMIでレンジかトレンドかを判断し、そのうえでピボットの使い方を切り替えると、逆張りと順張りを取り違えるリスクを抑えられます。

ピボットを使ううえでの注意点
ピボットは計算がシンプルで扱いやすい反面、いくつか注意しておきたい点があります。
1つ目は、ラインで必ず反発するわけではないという点です。ピボットはあくまで多くのトレーダーが意識しやすい目安であり、価格がそこで止まる根拠にはなりません。重要な経済指標の発表や要人発言があると、ラインを無視して大きく動くこともあります。
2つ目は、日足以外の短い時間軸のラインは意識されにくいという点です。チャートソフトによっては週足・月足のピボットや、1時間足ごとのピボットも表示できますが、一般的に広く使われているのは日足ベースのピボットです。まずは日足ベースのラインを基準にするのが無難です。
3つ目は、週明けや祝日明けは計算の元になるデータが変則的になる点です。週末をはさむと窓(ギャップ)が開くことがあり、前日のデータから計算したラインと実際の価格が大きく離れる場合があります。
こうした弱点を補うためにも、ピボットだけで売買を判断せず、ローソク足の形や移動平均線などと組み合わせて使うことが大切です。どの使い方でも、エントリー前に損切りの位置を決め、1回の取引で失う金額を資金に対して無理のない範囲に抑えてください。
まとめ
ピボットは、前日の高値・安値・終値から、その日の基準となる7本のラインを計算するテクニカル指標です。
- ピボットポイント(P)を中心に、上にR1〜R3、下にS1〜S3のラインを引く
- レンジ相場ではR1・S1での反発、トレンド相場ではR2・S2のブレイクを目安にする
- 価格がPより上か下かで、その日の地合いを判断する材料になる
- ラインで必ず止まるわけではないため、損切りの位置を決めてから使う
ラインが相場の始まる前に確定するため、1日の取引計画を立てやすい点がピボットの強みです。まずはデモ口座などでピボットを表示させ、実際の値動きがラインの近くでどう反応しているかを観察するところから始めてみてください。
よくある質問
- ピボットはどの時間足で使うのがよいですか?
-
日足のデータから計算したラインを、1時間足や15分足などの短い時間足に表示して使うのが一般的です。デイトレードやスキャルピングで1日の値動きの目安をつかむ用途に向いています。
- ピボットはMT4やTradingViewで表示できますか?
-
TradingViewには「ピボットポイント スタンダード」が標準で用意されています。MT4は標準では入っていないため、ピボット用のインジケーターを追加するか、ピボットを表示できるFX会社の取引ツールを使います。
- ピボットのラインで反発する確率はどのくらいですか?
-
反発する確率は相場の状況によって大きく変わり、決まった数字はありません。ラインはあくまで目安として使い、損切りの位置をあらかじめ決めておくことが大切です。
- ピボットの数値はFX会社によって違いますか?
-
1日の区切りの時刻(日本時間の朝6時か7時か、など)がFX会社やチャートソフトによって異なると、前日の高値・安値・終値が変わるため、数値にもずれが出ます。

