「この通貨ペアは、今どのくらい値動きが大きいのだろう」
取引する前にそれを数字で確認できれば、ロット数や損切り幅を決めやすくなります。
ヒストリカルボラティリティ(HV)は、過去の価格の変動率から、相場の値動きの大きさを年率の%で表す指標です。
もともとはオプション取引でよく使われる指標ですが、FXでも相場の「荒れ具合」を把握し、リスク管理に役立てることができます。
この記事では、ヒストリカルボラティリティの意味と計算の考え方、数値の見方、FXでの活用方法と注意点までを解説します。
値動きの大きさを測る指標としては、ATRもよく使われます。ATRの考え方を知っておくと、ヒストリカルボラティリティとの違いが理解しやすくなります。

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FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証された金融商品ではありません。為替レートや金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では、相場の急変時などに預け入れた証拠金を上回る損失が発生するおそれがあります。自動売買などの機能を使う場合も利益が保証されるわけではありません。取引を始める前に、各社の契約締結前交付書面や取引説明書をよく読み、仕組みとリスクを十分に理解したうえで、ご自身の判断で行ってください。
ヒストリカルボラティリティとは何か
ボラティリティとは、価格の変動の大きさのことです。ヒストリカルボラティリティ(Historical Volatility、略してHV)は、過去の実際の価格データから計算したボラティリティで、「歴史的変動率」とも呼ばれます。
数値は「年率○%」という形で表され、数値が大きいほど値動きが激しく、小さいほど値動きが穏やかな状態を示します。たとえばHVが10%の通貨ペアと20%の通貨ペアでは、後者のほうがおよそ2倍大きく動きやすいと考えることができます。
オプション取引では、将来の変動率の予想を表す「インプライドボラティリティ(IV)」と比較する目的でよく使われます。FXのスポット取引では、相場の荒れ具合を確認する指標として活用できます。
| 比較項目 | ヒストリカルボラティリティ(HV) | インプライドボラティリティ(IV) |
|---|---|---|
| もとになるデータ | 過去の実際の価格 | オプション価格 |
| 表すもの | 過去の変動の大きさ | 市場が予想する将来の変動の大きさ |
| 主な用途 | 現在の相場の荒れ具合の確認 | オプション価格の評価 |
ヒストリカルボラティリティの計算の考え方
ヒストリカルボラティリティは、次のような手順で計算します。チャートソフトやツールが自動で計算してくれるため、式を覚える必要はありませんが、何を表しているかを知っておくと数値の意味がわかりやすくなります。
各日の終値が前日の終値から何%変化したか(一般的には対数変化率)を計算します。
一定期間(20日など)の変動率について、標準偏差を計算します。標準偏差が大きいほど、日々の値動きがばらついていることを示します。
1日あたりの標準偏差に、1年間の取引日数(250〜260日程度)の平方根を掛けて、年率に直します。
年率に直すことで、期間の違うデータや、ほかの通貨ペア・金融商品と同じ基準で比べられるようになります。
数値の目安
主要な通貨ペアのHVは、落ち着いた相場では年率数%〜10%程度、相場が大きく動いた時期には20%を超えることもあります。ただし、通貨ペアや時期によって水準は大きく異なるため、同じ通貨ペアの過去の水準と比べて「今は高いか低いか」を判断するのが基本です。
FXでのヒストリカルボラティリティの使い方
ロット数や損切り幅の調整に使う
HVが高い時期は、同じロット数でも損益の振れ幅が大きくなります。そこで、HVが高いときはロット数を減らし、損切り幅を広めにとる、といった調整に使えます。値動きの大きさに合わせてポジションの大きさを決める考え方は、ポジションサイジングの基本です。
値動きが小さい時期のあとの大きな動きに備える
相場には、値動きが小さい時期と大きい時期が交互に訪れる傾向があるとされています。HVが過去と比べて極端に低い水準まで下がっているときは、エネルギーをためている状態とも考えられ、その後に大きな値動きが起こる可能性に備えるきっかけになります。ボリンジャーバンドの幅が狭まる「スクイーズ」と同じ考え方です。
通貨ペアの選択に使う
通貨ペアごとのHVを比べると、どの通貨ペアが今大きく動いているかがわかります。値動きの大きさはリスクの大きさでもあるため、自分の資金やトレードスタイルに合った通貨ペアを選ぶ参考になります。
たとえば、同じ時期にドル円のHVが8%、ポンド円のHVが14%だった場合、ポンド円のほうがドル円よりも2倍近く大きく動きやすい状態と考えられます。同じ損切り幅でも、ポンド円のほうが損切りに到達しやすくなるため、ロット数を減らすなどの調整が必要になります。
ヒストリカルボラティリティを使ううえでの注意点
1つ目は、HVは値動きの大きさだけを表し、方向は示さない点です。HVが上昇していても、それが上昇によるものか下落によるものかはわかりません。売買の方向は、トレンド系の指標などで別に判断する必要があります。
2つ目は、過去のデータから計算した値である点です。HVはあくまで過去の変動の大きさであり、将来も同じ大きさで動くとは限りません。経済指標の発表や要人発言などで、急に値動きが大きくなることもあります。
3つ目は、計算期間によって数値が変わる点です。期間を短くすると直近の値動きに敏感に反応し、長くするとゆるやかに変化します。比べるときは同じ期間で計算した数値どうしを使ってください。
4つ目は、MT4などに標準で搭載されていない点です。TradingViewには「ヒストリカル・ボラティリティ」が用意されていますが、MT4で使う場合はインジケーターを追加する必要があります。
HVは、エントリーの判断よりも「今の相場でどのくらいのリスクを取るか」を決めるための指標です。売買のサインを出す指標と役割を分けて使うことで、判断が整理しやすくなります。
まとめ
ヒストリカルボラティリティは、過去の価格の変動率から、相場の値動きの大きさを年率の%で表す指標です。
- 日々の変動率の標準偏差を年率に換算して計算する
- 同じ通貨ペアの過去の水準と比べて、今の荒れ具合を判断する
- ロット数・損切り幅の調整や、大きな値動きへの備えに使える
- 値動きの方向は示さないため、ほかの指標と組み合わせて使う
HVは売買のタイミングを教える指標ではありませんが、リスクの大きさを把握するうえで役立ちます。取引前に通貨ペアのHVを確認し、今の相場でどのくらいのロット数が妥当かを考える習慣をつけてみてください。
よくある質問
- ヒストリカルボラティリティとATRの違いは何ですか?
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ATRは値動きの幅を価格(pipsなど)で表し、HVは変動率のばらつきを年率の%で表します。HVは通貨ペアどうしの比較がしやすい点が特徴です。
- ヒストリカルボラティリティが高いときは取引しないほうがよいですか?
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取引を避ける必要はありませんが、損益の振れ幅が大きくなるため、ロット数を減らすなどリスクを調整して臨むのが一般的です。
- ヒストリカルボラティリティの計算期間はどれくらいがよいですか?
-
20日前後がよく使われます。短期の変化を見たい場合は短く、長期の傾向を見たい場合は長く設定します。
- HVが低いと、このあと必ず大きく動きますか?
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大きく動く可能性に備えるきっかけにはなりますが、必ず動くわけではなく、動く方向もHVからはわかりません。

